㊥山の読書感想文

「とり残されて」(宮部みゆき、文芸春秋)

表題作のほか、6編。いわゆる短編集です。 日常なんだけどミステリー、時にはホラーでたまにセクシー。とり残されて (文春文庫)作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1995/12/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (60…

「M」(馳星周、文芸春秋)

「絶望と快楽 暗黒小説の旗手が切り拓くエロスの新境地!」 ↑帯のコピーです。笑っちゃうね。 義理の妹に欲情してあれやこれやと妄想する〈眩暈〉、幼い頃から恋心を抱いていた隣のおじさんに抱かれるために売春婦になる〈人形〉、伝言ダイアルでヒマを潰す…

「今夜、すべてのバーで」(中島らも、講談社)

中島らもはヘンなエッセイ集しか読んだことがなく、まともな小説を読んだのは初めてだったけど、素直におもしろかったです。でも中島らも好きに言わせたら、これは駄作の方らしい。適当に言うと“適当な感じの村上龍”ってかんじでした。 ほぼ全てのにんげんは…

「殺しの四人―仕掛人・藤枝梅安」(池波正太郎、講談社)

鍼医師でありながら暗殺業で大金を稼ぐ“仕掛人”藤枝梅安せんせいが大活躍されるお話。池波正太郎好きな同僚に本をかりました。 殺す時は首の裏とかを鍼でブスっとひとつき。解剖とかされないので、外傷のない原因不明の事故死と処理されるらしい。ホンマかい…

「スナーク狩り」(宮部みゆき、光文社)

実はとても好きなんです、宮部作品。いろんな意味でプロフェッショナルだから。この作品も重厚なテーマが中心にあり、それを彼女なりに消化し、同時に読者に問い掛けてくるのです。 男に利用されて捨てられた美人OL、職場で“お父さん”と慕われる中年の男、そ…

「太陽の季節」(石原慎太郎、新潮社)

現東京都知事の石原慎太郎くんが一橋大学在学中の1955年に文学界新人賞を受賞した作品。翌年に芥川賞を受賞した時はその倫理性などをめぐって社会的事件になった・・・とプロフィールにあります。そんなこと全く知らなかった’79生まれの私ですら、これはちょ…

「青の炎」(貴志祐介、角川文庫)

すごかったですよぉ〜〜高校生の完全犯罪。母親が10年前に結婚して離婚したろくでもない元義父をどうにかしようと労したけどどうにもならくて、追い詰められた主人公が義父から母と妹を守るために壮大な謀(はかりごと)を練るお話です。こんな奴を殺すのにバ…

「バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌」(著者:杉江松恋、脚本:深作健太・木田紀生、原案:高見広春、太田出版)

前に新刊で買った本をやっと読めました。前作 「バトル・ロワイアル」はストレートでかなり秀逸な作品だったと思うのですけれども、今度のは要素を詰め込みすぎて失敗した感がありますね。BRで捨てられた子どもたちがテロリストになるエピソードと、問題児を…

「実録 刑務所暮らし」(別冊宝島編集部編、宝島社)

刑務所に入った経験のある人の話、刑務所と実社会と行き来した人たち、刑務所に入った後に死刑執行された人達のことが、全部で18編掲載されている文庫本でした。 犯罪の種類や判決、待遇なども全く違う18人によって語られてるワケですが、境遇の違う彼らが一…

「ゲームの名は誘拐」(東野圭吾、光文社)

数年前に藤木直人と仲間由紀恵主演で映画化された「g@me」の原作。エリート会社員が金持ちの令嬢とと結託して令嬢宅から身代金をせしめるお話です。 東野作品は初めて読みました。いや、そんなことよりまず、主人公のエリート会社員の性格が悪くてめちゃめち…

「悪魔の飽食」(森村誠一、角川文庫、昭和58年)

何でこの本がウチにあるのかいささか不思議でしたが、どうやらこれは私が実家の本棚からかっぱらてきたモノのようでした。母がこの辺の話が好きで、他にも「大地の子」やら「ワイルド・スワン」やら、中国の近代〜現代の史実モノがいっぱいあるんですが。 こ…

「ひまわりの祝祭」(藤原伊織、講談社)

1作目の「ダックスフントのワープ」(集英社)で第9回すばる文学賞、次作「テロリストのパラソル」(講談社)では第114回直木賞と第41回江戸川乱歩賞をダブル受賞した藤原伊織。表題は3作目です。 世捨て人と化した主人公の前に、自殺した妻そっくしの女やヤ…