「太陽の季節」(石原慎太郎、新潮社)

東京都知事石原慎太郎くんが一橋大学在学中の1955年に文学界新人賞を受賞した作品。翌年に芥川賞を受賞した時はその倫理性などをめぐって社会的事件になった・・・とプロフィールにあります。そんなこと全く知らなかった’79生まれの私ですら、これはちょっとした衝撃でした。衝撃というか、後味が悪い・・・(そんなのばっか?)。
お金もちでお坊ちゃま学校に通っててどこか乾いてる高校生の主人公が、恋に落ちたお嬢様を破滅へと導く物語。こんな説明でいいのか?でも一言でいえばそんな感じな気がします。とにかくこの主人公がヒドイ男。高校生という若気の至りもあって、欲望のままに獲物を追い詰めるサディストっぷりを存分に発揮!!!してます。ちょっとしたSMです。
SMっていっちゃうと一般人にはかけ離れた印象があるかもしれませんが、それは“恋のかけひき”でもあり、人と人との関係でもあるので、多かれ少なかれ誰にでもあってどこにでも落ちてる話のような気もする。そうだとしたら、例え肉体的な破滅に追いやらなくても、こんな風に傷ついたり誰かを傷つけたりしてるのかと思うと、とても他人事には思えません。

太陽の季節 (新潮文庫)

太陽の季節 (新潮文庫)