「悪魔の飽食」(森村誠一、角川文庫、昭和58年)

何でこの本がウチにあるのかいささか不思議でしたが、どうやらこれは私が実家の本棚からかっぱらてきたモノのようでした。母がこの辺の話が好きで、他にも「大地の子」やら「ワイルド・スワン」やら、中国の近代〜現代の史実モノがいっぱいあるんですが。
これは(旧)日本軍にあった“七三一部隊”の実態を調べ上げた本です。その情報の緻密さは舌をまくほど。どんな部隊があって、そこがどんなことを研究していて、どんな人体実験を行っていたか。普通、この本を読んだら気持ち悪くなって途中で一旦挫折するようですが(母も中山さんも)、私は面白くて一気に読んでしまいました。というのも、あまりに淡々と書かれていて、あまりに遠くの世界のことで、「へえ〜〜っ」って気分にしかなんないんです。まるで、口コミで手に入れた「実録!人体実験レポート」を読んでいるような気分になるのです。
人によって受け取り方は違うんでしょうけど・・・でも戦争になっちゃったら、こんな非現実が現実になってしまうのでしょうな。
新版 悪魔の飽食―日本細菌戦部隊の恐怖の実像! (角川文庫)