「バトル・ロワイアル」(監督:深作欣二、原作:高見広春、2003)

去年、劇場公開問題が国会議員にまで波及した話題作。テーマそのものが2時間という映画の枠では描ききれずにただの“駄作”になってしまったのではないかと推察します。
小説では―小説から先に読むからイカンのでしょうが―クラスメイトの行動の理由やなんかが素晴らしくこと細かに描いてあります。例えば、主人公の七原秋也(藤原竜也)が尊敬してやまなかった三村信史(塚本高史)が、小説では中学生と思えないかなり秀逸なことをしでかしてるんだけど、映画は全然活躍してなかったり。杉村弘樹(高岡蒼佑)だってもうちっと活躍してもー、と思うし。その原因の一つに教師キタノという、これまたわけのわからない大役を用意してたことにあるでしょう。誰が意図してるのかはわかりませんが、この教師の役回りに同情してしまった結果だと思います。㊥山が思うに、子どもは大人が持つ大人の事情に感知したり同情したりする必要はないと思うんです。大人は昔は子どもだったんだし、子どもはいずれ大人になるんだからさ。

にしても、柴咲コウ安藤政信のスターダスト組がめちゃめちゃいいですね。安藤政信はデビュー作の「キッズ・リターン」で純情少年をやった時から注目してたんですけど、今回は感情のない殺人鬼。無表情でAKぶっ放してたり、日本刀で首切った同級生の口の中に手榴弾詰めて投げたり、サイコーです。柴咲に至ってはこれ以上のハマリ役がないんじゃないかってくらいのハマリぶり。女子と格闘した末に形勢逆転した時のあの“ニヤリ”っていう邪悪な笑みは、この世のものとは思えないほど美しい。悪魔ってこういう顔してるんだろうなって感じです。

バトル・ロワイアル [DVD]

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