「ヴァージン・スーサイズ」(監督:ソフィア・コッポラ、1999)

ズバリ「イヤなモノ見ちゃった!」って感じでした。久しぶり。ひひ。
主人公はアメリカの片田舎に住む、目をみはるほどの美人姉妹5人。家は敬虔なクリスチャンで、父親は真面目な数学教師、母親は専業主婦。さしてめずらしい設定ではないと思います。そんな平凡な家庭でにょきにょきと育つ美しい娘たちが自殺していくという、夢のようなお話なのです。
なぜこんな悲劇が起こったのか?映画を観終わった後に暗い気分になった私はその原因を考えてみたんですけど、考えれば考えるほど虚しくなりました。両親の教育が間違っていた、学校に問題があった、住環境に恵まれなかった・・・ああなってしまった原因として、多分私はいくつかの可能性を挙げて、客観的には事実に近づくことも可能だったはず。けれど、いくら思考を巡らせても、真実を空振りするどころか、その“真実”ってモンはあったのか?って気になってくるんです。最初っからなかった幻の雲をつかもうとしてるみたいな気になってくるんです。
私が想像した雲は幻で、雲そのものもこの手にとれない。話は救いようのない悲劇で幕を閉じます。この映画に救いなどない、けれどそんな落ちップリが、どことなく安心させてくれます。
ちなみに中山さん、このお話は“処女が自殺する”ってワケではなかったよ。明らかにヴァージンじゃない奴が1人いたから。でも、この映画を見れば、タイトルの意味が何となくわかるんじゃないかと思います。
この“少女の処女性"(ダジャレじゃないよ)には昔からとっても憧れていて、私が作るものには必ずといっていいほどこの要素が入ってたりしますが、ソフィア・コッポラはこれを端的に素晴らしく表現していました。す・ば・ら・しい!

ヴァージン・スーサイズ [DVD]

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