ばあさんのメモ

昔は家族でここに住んでいました

お盆に帰郷した際、母方のじいさんの家へ遊びに行きました。妻に先立たれたじいさんは、市内にある木造1DKのボロアパートで1人暮らしをしています。そこで、ばあさんの死に際の日記のようなメモが出てきたと言って私や母に見せてくれました。
ばあさんは私が6歳の時に肺血栓で亡くなっています。ウチから車で1時間のところに住んでいたこともあり、私の彼女に関する記憶は途切れ途切れで少ししかないのですが、入院する前に美容院に行ったばあさんが「ヘンな髪型にされちゃってイヤだわ〜」って言っていたことを覚えています。葬式の前に死化粧をしたことも覚えてるので、その記憶からいって多分亡くなる直前だったのでしょう。
ばあさんが残したそのメモは、亡くなる前の日まで「今日は○○を食べた。おいしくなかった」とか「○○が見舞いに来てくれた」とか、本当にたわいのないことが、書道の免許を持っていた彼女らしく、病床とは思えないほど現実ばなれした美しい字で書かれてありました。